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名古屋市昭和区八事にある矯正専門の歯科医院
(地下鉄八事駅6番出口すぐ) TEL:052-835-8711

当院で発行している院内誌の一部を紹介します


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Vol.73 (H29年4月)
 
あなたは,うどんやラーメンをすすって食べることはできますか?最近は,ヌードルハラスメントといって,すする音を外国人が嫌うため,すすって食べたことがない人もいるかもしれませんね。でも、すすって食べる食べ方は日本の文化でもあり,すすって食べた方がラーメンやうどんは美味しいような気がします。
 すすって食べる食べ方について少し考えてみますと、熱いものを飲む時には、すすって飲んだりします。赤ちゃんも、コップから飲む動きを身につけるときには、まずコップやスプーンからすすって飲めるように練習します。すするという動作は人間にとって必要な能力なのでしょう。それが、水分以外のもの、例えばお茶漬けや卵かけご飯など、噛まずに食べられるものもすすって食べたりしているうちに、うどんやラーメンなどの麺類もすすって食べてみたら、予想以上に美味しく食べられることが分かり、それが文化になったのではないかと私は勝手に推測しています。
 ただ、すすって食べるためには、鼻と口の呼吸バランスがとれていて、舌、唇、軟口蓋(のどちんこ)など、いろいろな部分が複雑に協調して動く必要があります。すすって食べるというのは、実は難しい動きをしているのです。したがって、高齢者などは誤嚥リスクがあるため、無理してすすって食べない方が良いとも言われています。私自身、高齢者などは無理にすすって食べない方が良いと思っていますが、若者は口をきちんと使えるようになるためにも、ラーメンやうどんをすすって食べられることは大切だと考えています。すすって食べられるけれど、外国人の前ではすすらずに食べるなど、場面に応じて、いろいろな食べ方を使い分けられるように、口の器用さを身につけるのが理想だと思っています。





Vol.74 (H29年6月)
 
ストローで飲むとき,ストローの先はどこにありますか?ストローを上下のくちびるではさんでストローの先は前歯より前にある人,ストローを歯でかんでストローの先が前歯の後ろにある人,ストローがもっと口の奥へ入り込んでストローの先が舌の上にのっている人,などいろいろな人がいると思います。
 理想的な飲み方は,ストローを上下のくちびるではさみ,ストローの先は前歯より前にある飲み方です。ポイントは,ストローの先が舌の上にのらないことです。ストローの先が口の奥まで入り,ストローの先が舌の上にのっている飲み方は,赤ちゃんがおっぱいを飲む時の動きに近い動きで,コップなどから飲む動きとは少し違う飲み方になります。したがって,コップなどからきちんと飲める人にとって,ストローの先が舌の上にのる飲み方では,少し飲みにくいはずです。ちなみに私は,ストローの先を舌の上にのせて飲むと,飲み物が気管の方へ流れていきそうで,とても飲みにくく感じます。
 最近,歯科関係者の間で,きちんと飲めない人が増えてきている,ということがよく話題になります。その要因のひとつとして,乳児期にコップから飲むより先にストローを口の奥まで入れて飲む飲み方を身につけてしまうこともあるのではないかと言われています。皆さんも,ストローの先の位置が口の中のどこにあるのか,一度意識してみてください。それで,ストローの先を舌の上にのせて飲んでいるようであれば,ストローを上下のくちびるだけではさむように浅くくわえて飲むようにしたらよいと思います。喫茶店で冷たいものを飲む時に,話題のひとつとしてみんなで話してみたらおもしろいかもしれませんね。





Vol.75 (H29年8月)
 「矯正してかみ合わせがよくなれば,肩こりも治りますか?」と聞かれることがあります。私の知るかぎり,かみ合わせと肩こりの関係について,エビデンスはありません。しかし,矯正してかみ合わせを治すことで,肩こりがよくなる人がいるのは事実です。一方,矯正した全ての人で肩こりがよくなるわけではありません。
 少し考えてみますと,口に関する筋肉と肩の周りの筋肉は,首を介してつながっているもの,直接つながっているものなど,いろいろあります。したがって,かみ合わせが悪くて口に関する筋肉の動きに問題が生じ,それが肩の周りの筋肉にも影響すると,肩こりにつながることはあると思います。しかし,肩の周りの全ての筋肉が口に関する筋肉とつながっているわけではありませんし,また,かみ合わせがよくなったからといって必ず口の動きまでよくなるわけでもありません。したがって,矯正してかみ合わせを治したからといって,必ず肩こりが治るわけではないと思われます。
 また,矯正治療後に肩こりがよくなった場合でも,かみ合わせがよくなったことだけが要因でなく,実際,他の要因も関係しているような気がします。数年かかる矯正治療中に,自分も周りもいろいろと変化していますからね。
 人間の体は,かみ合わせと肩こりなど,一対一で考えられるほど単純なものではなく,たくさんの因子が複雑に絡み合ってできている,と私は考えています。矯正治療で歯並び・かみ合わせを整えることにより,体全体が少しでもよい方向へ向かってくれればよいな,と思いながら私は日々診療しています。





Vol.76 (H29年10月)
 食事中に誤って自分のくちびるを噛んでしまった経験,ありませんか?私は何度もあります。どうしてこんなに痛いことを自分自身でしてしまうのでしょう?
 食事中にくちびるを噛んでしまうメカニズムは今のところわかっていませんが,少し考えてみますと、噛む動きは,中枢からの指令に加えて,舌やくちびる,歯など,いろいろな部位からの感覚情報が統合されてできています。くちびるなどからの感覚情報に問題が生じたり,全体の統合がうまくいかないなど,神経に問題が生じると、食べ物を噛む時に誤ってくちびるが前歯の内側へ入ってしまったりして、噛んでしまうのだと思います。
 実際,私の経験でも,くちびるを噛む時というのは,多忙で疲れている,ストレスがたまっている,緊張している,などの時が多いように思います。このような時には,神経伝達等に問題が生じやすいですからね。また,くちびるを噛んでしまった時の状態を考えてみますと,ほおばって食べていたり,前歯の方で食べ物をモグモグ噛もうとするなど,いつもと違う噛み方をしている時が多いような気がします。神経の問題等で無意識のうちに変な噛み方をしてしまい,結果としてくちびるを噛んでしまうのかもしれません。また、矯正治療後の新しい歯並び・かみ合わせにくちびるの動きが適応できない場合も,くちびるを噛んでしまうことがあるようです。矯正治療前の歯並び・かみ合わせで身につけた噛み方を,矯正治療後にもしてしまっているということです。疲れている時や矯正治療後などは,いつも以上に集中して食事をした方がよいのかもしれませんね。





Vol.77 (H29年12月)
 重いものを持ち上げる時など,踏ん張る時に,あなたは歯を噛みしめますか?あまり意識したことがない方も多いと思いますが,過去の研究によると約6割の人が踏ん張る時に噛みしめると報告されています。
 踏ん張る時など,最大筋力が必要な時には,固定が重要になります。固定とは,足場や手すりなど,支えになるところのことです。この固定になるところを,体の外部に求める場合もありますが,体や腕・足など全身の筋肉を硬く収縮させて,体の内部に固定源を求めることもあります。噛みしめることは体内の固定のひとつになるのです。
 踏ん張る時に噛みしめない人たちはどうしているのでしょうか。このような人たちは,息を止めるなどしているのではないか,といわれています。息を止めることで肺に空気を閉じ込めて,胸部を固定しているのです。もちろん,噛みしめながら息を止めている人もいますし,他のどこかを固定して踏ん張る力を発揮している人もいると思います。
 重いものを持ち上げる時の踏ん張りだけでなく,軽度の踏ん張りもあります。例えば,ただ立っているだけでも,重力に抵抗して踏ん張っています。入れ歯を調整して噛みしめられるようにすると,高齢者の転倒が減ったという報告もあるようです。噛みしめが体内の固定源になっているのだと思われます。
 歯やかみ合わせは,食べる時だけでなく,噛みしめて体を安定させるなど,いろいろな場面で活躍しているのです。




ふじき矯正歯科

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