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名古屋市昭和区八事にある矯正専門の歯科医院
(地下鉄八事駅6番出口すぐ) TEL:052-835-8711

当院で発行している院内誌の一部を紹介します



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Vol.31 (H22年4月) 
 口には,食べる役割と,息をする役割があります。食べたものは食道を通って胃へ,吸った息は気管を通って肺へ進みます。吸った息が食道へ進むのは,多少であれば問題ありません。しかし食べたものが気管へ進むと命に関わってきます。実際,食べ物による窒息が,不慮の事故による死因で,最近3年間,ずっとトップとなっています。
 食べ物による窒息が多いのは高齢化の影響と考えられています。加齢に伴い筋力や感覚が低下すると,食べ物が気管の方へ進みやすくなってしまうためです。そこで,近年は,高齢者の摂食えんげ訓練が,病院などで盛んに行われています。上手に食べて飲み込む訓練をするのです。この訓練のおかげで,上手に食べられるようになっていく方がたくさんおられます。しかし,なかなか成果が上がらない方もおられます。その方の持たれている疾患や訓練に対する気持ち等によって成果は違ってくるのです。また,昔,その方が持たれていた食べる能力も影響してきます。昔の動きを思い出す訓練なのか,新しい動きを身につける訓練なのかで違ってくるのです。健康な若いうちに,きれいな口の動きを身につけておくことが望まれます。
 近年は軟らかい食べ物が増え,食べる機能が未熟なまま成長していく人が増えているといわれています。当院で行っている口のトレーニングは,矯正治療後のきれいな歯並び・かみ合わせを安定させるためだけでなく、健康に生きていくために,きれいな口の動きを身につけることを目標に行っています。トレーニングはなかなか大変だと思いますが,一緒にがんばっていきましょうね。
  





Vol.32 (H22年6月) 
 スルメを食べるときと豆腐を食べるとき,噛む力って同じだと思いますか?普通に考えたら,口に入れる前に目で見て,「スルメだから硬そうだ」「豆腐だから軟らかそうだ」などと自分で判断して,意識的に噛む力を変えていそうですよね。実は,目をつむって何を食べているのかわからないような状態でも,噛む力は無意識のうちに調節されています。
 食べ物を噛むときには,口を閉じるための筋肉が収縮します。筋肉の収縮する力が噛む力になるのです。筋肉の収縮する力は,上記のように「スルメだから硬そうだ」などと思うことで,意識的に多少調節されます。この他,食べ物を噛むときに筋肉自体が噛んだものから抵抗を受けて,この抵抗を筋肉の中にある筋紡錘(きんぼうすい)というところが感じとり,筋肉の収縮を調節しています。硬いものは強く,軟らかいものは弱く収縮するように調節しているのです。舌や歯の感覚も筋肉の収縮に影響していますが,現在のところ,噛む力の調節に関しては,筋肉の中にある筋紡錘が一番大きな役割を果たしていると考えられています。
 「硬いものをもっと食べた方がよいですか?」という質問を私はよく受けます。「硬いものを食べるというよりも,硬いもの,軟らかいものなど,いろいろな食材を幅広く,バランスよく食べてください」と私は答えるようにしています。筋紡錘にもたくさんの刺激が必要ですからね。硬いものから軟らかいものまで,しっかり噛んでバランスよく食べるように心がけましょう。






Vol.33 (H22年8月) 
 食べ物を口の中へ入れたら,モグモグかみますよね。全くかまずに飲み込む人は,ほとんどいないでしょう。では,その食べ物が包丁等で小さく切りきざんであった場合,全くかまずに飲み込めるでしょうか?ステーキをナイフで小さく切りきざんで口の中へ入れても,かまずに飲み込むなんて,とてもできそうにありませんよね。食べ物をかむというのは,ただ単に上下の歯で食べ物を小さく切りきざんでいるだけではないのです。
 かむときには,食べ物を唾液(つば)と混ぜ合わせて,飲み込みやすい状態にする動きも同時に行っています。上下の歯で小さく切りきざみながら,唾液と混ぜ合わせて,食べ物をドロドロベタベタの飲み込みやすい形状にしているのです。昔の赤ちゃんは,お母さんの口の中でモグモグかんだものを食べていました。包丁でただ単に小さくするだけではダメ,唾液と混ぜ合わせることが大切,ということに昔の人たちは気付いていたのでしょう。昔の人たちの知恵はたいしたものです。現代では,むし歯菌が移るため,お母さんがモグモグかんだものを赤ちゃんにあげることは推奨されませんが。。。
 最近,食事中に頻繁にお茶を飲み,水分で流し込むような食べ方をしている人をよく見かけます。そのような人は,モグモグかんで,唾液と混ぜ合わせることができていないのでしょう。食事中に水分を取るのはできるだけ控えて,飲み込める状態になるまで,モグモグかみ続けるようにしましょう。




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Vol.34 (H22年10月) 
 「あなたには親知らずがあります」と言われたら,どう思いますか?「抜いてもらおう」「いずれ抜かないといけないかな」などと考える方が多いのではないでしょうか。親知らずを抜くのはとても痛いのに,「親知らず=抜かなくてはいけない」と考える人が多いのは,なんだか不思議な感じがします。
 親知らずは,通常,18歳頃はえてきます。しかし現代人はあごが小さいため,はえるためのスペースがなく,骨の中に埋まったままはえてこない(はえてくることができない)人や,一部分だけしかはえてこない人が大多数です。骨の中に埋まったまま,または一部しかはえていないと,歯としての噛むという役割を果たせないため,多くの人は不要なものと考えて,抜こうと思われるのかもしれません。しかし親知らずも歯です。例えば他の歯がダメになったとき,ダメになった歯の代わりに親知らずを使えるかもしれません。実際当院にも,ダメになった歯を抜いて,代わりに親知らずを使えるように歯を動かして矯正治療している方がたくさんおられます。
 もちろん,親知らずにばい菌が感染してはれてきたり,前の歯を押して歯並びが悪くなりそう,などの症状があれば,抜いた方がよい場合もあります。矯正治療をするために歯を抜く場合があるのと同じです。抜くことのメリットとデメリットを,タイミング(今か10年後か等)も含めて十分に考えることが大切だと私は思います。





Vol.35 (H22年12月) 
 当院の患者さんの中には,トランペットやクラリネットなど,管楽器を演奏している人が,たくさんおられます。「自分のことだ!」と思った方もおられるでしょう。では,管楽器の演奏は,お口の健康や歯並びに影響するのでしょうか?
 管楽器は口にあてて演奏しますので,毎日,長時間演奏していると,楽器から歯に圧力がかかり,歯並びが変化する可能性はあります。実際,管楽器演奏は歯並びに影響を与えるという研究報告もあります。しかし,毎日,朝から晩まで演奏する人は少ないでしょうし,演
奏中,ずっと楽器を口にあてているわけではありませんので,管楽器演奏が歯並びに与える影響は少ないと私は思っています。
 逆に,管楽器を演奏すると,くちびるや舌を大きく動かしますし,呼吸のためにのどの奥の方もかなり動きますので,口の健康にとってよいものではないかと私は考えています。実際,Didgeridooという管楽器(金管楽器のように唇を振動させて音を出すオーストラリアの民族楽器)を練習することで,睡眠時無呼吸症候群が改善したという研究報告があります。詳しいメカミズムはわかっていませんが,口をしっかり使うことが健康のために大切ということです。
 最近は,軟らかい食べ物が増えたためか,口を上手に動かせない人が増えています。当院のお口のトレーニングが難しい人もおられるでしょう。口があまり動かない人は,管楽器を始めてみるのもよいかもしれませんね。


Vol.36 (H23年2月) 
 風邪などで鼻がつまると、食べ物の味がわかりにくくなることがあります。きっと皆さんも経験されたことがあるでしょう。せっかくの甘いケーキがあまりおいしく感じられない、なんともさびしい気分になってしまいます。
 食べるときには、視覚や触覚、味覚、嗅覚など、たくさんの感覚を使っています。食べ物の見た目、歯ざわり、味,香りなど、多くの感覚情報を統合しておいしさを判断しているのです。近年の研究によると、口の中で食べ物をモグモグ噛んでいる間、のどちんこや舌の奥が巧みに動いて、口の中の香りを鼻の方へ送りだしていることが明らかにされています。口と鼻はのどの奥でつながっていますので、口の中の空気が鼻へ行き、食べ物の香りを鼻で感じとるという仕組みです。したがって鼻がつまると、食べ物から香りを感じ取りにくくなる
ため、おいしさを判断する時に味がわかりにくくなったような気がするのだと思われます。
 逆に考えると、納豆など、においのために敬遠されがちな食べ物は、鼻がつまっているときであれば食べられるかもしれません。ただ,鼻がつまっているときは体調がすぐれないときが多いので、苦手な食べ物にチャレンジする気にはならないと思いますが。。。風邪や花
粉など、鼻がつまりやすい季節ですが、おいしく食べるためにも、できるだけ鼻がつまらないよう工夫をしながら生活していきたいものですね。




ふじき矯正歯科

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