下あごが前に出ていたり、下の歯が前に出ていたりすると、気になりますよね。
噛みにくくて、食べるのに時間がかかって困っている、という方もおられると思います。
実際、受け口(下顎前突・反対咬合)の人は、見た目の問題だけでなく、噛む動きや飲み込む動きに問題を抱えていることが多いといわれています。
例えば、受け口(下顎前突・反対咬合)の人は、きちんと噛めないため、咀嚼効率が悪く、胃へ負担がかかりやすい、という研究報告があります。
日本人の80歳で20本以上歯が残っている人の歯並び・かみ合わせを調査したところ、受け口(下顎前突・反対咬合)の人はいなかった、との研究報告もあります。
受け口(下顎前突・反対咬合)の人は、きちんと噛めないため、口の中の唾液の流れが悪くなり、むし歯や歯周病になりやすいためだと思われます。
したがって、もし受け口(下顎前突・反対咬合)を気にされているのでしたら、歯が健康なうちに矯正治療されることをお勧めします。
むし歯や歯周病で歯が悪くなってしまうと、矯正治療の治療方法に制限が生じたり、場合によっては矯正治療できない場合がありますので。。。
とはいえ、なかなか踏ん切りはつかないですよね。
きちんと治るのだろうか、矯正装置に対する不安、治療期間が長い、費用が高い、など、いろいろな心配があると思います。
でも、そんなに深く考えすぎないでください。
きちんと治療すれば、受け口(下顎前突・反対咬合)はきちんと治ります!
ただ、魔法のように、簡単に治るわけではありません。
それなりに大変なこともありますので、ご自分の中でしっかり考えて、理解・納得してから治療を開始された方が良いと思います。
[受け口(下顎前突・反対咬合)の状態について]
受け口(下顎前突・反対咬合)の方は、下のイラストのように、下の前歯が上の前歯より前に出ている状態だと思います。
この状態が、骨格の問題(下あご自体が前に出ている)で生じているのか、歯の問題(上下の前歯の傾き)で生じているのかを整理する必要があります。
例えば、下のイラストの女の子には歯が描かれていませんが、なんとなく受け口かな?という感じがすると思います。
これが、骨格の問題(下あご自体が前に出ている)で生じている受け口(下顎前突・反対咬合)のイメージです。
一方、下のイラストの女の子の場合、顔を見ただけでは受け口かどうかはわかりません。
歯を見たら受け口だった、という方です。
これが、歯の問題(上下の前歯の傾き)で生じている受け口(下顎前突・反対咬合)のイメージです。
レントゲン撮影などの検査を行えば、骨格の問題で受け口になっているのか、歯の問題で受け口になっているのか、についてわかります。
ただ、多くの場合、上のイラストで示した通り、顔の感じを見るだけでもある程度判断ができます。
そして見た目の評価とレントゲン等の検査結果はだいたい一致します。
[受け口(下顎前突・反対咬合)の矯正治療を受ける前に考えておくべきこと]
骨格性の受け口(下顎前突・反対咬合)を治療する場合は、骨格から治します。
歯の問題で受け口(下顎前突・反対咬合)になっている場合は、歯の移動だけで治療します。
両者で治療方法が異なります。
そして、治療結果も違ってきます。
ただ、両者の間に明確な線引きができるわけではありません。
骨格の問題も少しあるけど、歯の移動だけで十分治療できそう、など、ある程度のグレーゾーンが存在するのです。
そこで、患者さん自身がどこを気にしているのか、受け口に見える顔の感じを治したいのか、下の前歯が上の前歯より前に出ているところを治したいのか、という点が重要になってきます。
患者さんの主訴を考慮して治療計画を立てたりすることもありますし、主訴が治らない場合は、矯正治療を開始する前に、その旨をきちんと説明しておかないといけませんからね。
矯正治療後に、こんなはずではなかった、ということにならないためにも、患者さん自身で治したい点を明確にしておくことがとても大切なのです。
実際に矯正治療を行うときには、レントゲン撮影等の検査をして、骨格の問題で受け口になっているのか、歯の問題で受け口になっているのか、などを十分調べるとともに、患者さん自身が気にしている点を考慮して、治療方針を決めていきます。
ただ、矯正歯科治療は美容が主目的の医療ではありませんので、ご希望に添えないことも多々あります。ご了承ください。(矯正歯科治療は、歯並び・かみ合わせを整えるのが主目的の医療です。)
[受け口(下顎前突・反対咬合)を治す矯正治療方法]
1.一般的な矯正歯科治療
歯の問題で受け口(下顎前突・反対咬合)になっている場合の治療方法です。
主に歯の移動だけで治療します。
例えば、下のイラストのような受け口(下顎前突・反対咬合)を一般的な矯正歯科治療で治療する場合は、上の前歯を外側へ、下の前歯を内側へ傾けて治療します。
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動いたのは歯だけで、あごの位置は変わっていません。(歯の位置や角度は変化していますが、歯肉(ピンク色の部分)の位置は変化していません。)
歯の問題で受け口(下顎前突・反対咬合)になっている場合は、このような治療を行います。
患者さん側が「受け口に見える顔を治したい」と思われている場合、この治療をしても、あごの位置は変わりませんので、満足していただけないかもしれません。
そのためにも、矯正治療を開始する前に、患者さん側で治したいところを明確にしておき、その点がその治療で治るのかについて確認しておくことは大切です。
一方、骨格の問題を歯の傾きで補うのにも限界がありますので、一般的な矯正歯科治療では治療困難な場合もあります。
その場合は、外科的矯正歯科治療を行うことになります。
2.外科的矯正歯科治療
骨格の問題で受け口(下顎前突・反対咬合)になっている場合の治療方法です。
矯正歯科治療を行うとともに、あごの骨を切って動かす手術を行います。
あごの骨を切る、と聞くと、びっくりされる方もおられると思いますが、このような手術は、外科的矯正治療といって、世界中で一般的に行われている手術ですので、あまり心配はいりません。(大変なことは大変ですが。。。)
例えば、下のイラストのような方の場合、上の前歯を外側へ、下の前歯を内側へ傾けても、下の前歯より上の前歯を外側へ出すのは難しい、ということが、何となくイメージできると思います。(ピンク色の歯肉部分は位置が変わりませんので、歯だけを移動させると歯が歯肉からはみ出してしまいます。)
骨格性の受け口(下顎前突・反対咬合)で、歯だけ動かす一般的な矯正治療では、治療困難なケースです。
そこで、外科的矯正治療を考えます。
下のイラストは外科的矯正治療のイメージです。
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下の歯と下の歯肉(ピンク色の部分)がまとまって後ろに下がり、受け口(下顎前突・反対咬合)が治っているのがわかると思います。
これが外科的矯正治療のイメージ、あごの骨を切って後ろへ下げる手術のイメージです。
あごの骨を切る手術は口腔外科医などが行いますが、骨の移動量や移動方向を設定したり、それに合わせて歯の移動量や移動方向を計画したり、そして実際に歯を移動させたり、などは矯正歯科医が行います。
具体的には、まず、骨をどこまでどれくらい移動させるのか、そこへ骨を移動させた場合、歯をどのよう移動させればきちんとかみ合うのか、などについて治療前にしっかり治療計画を立てます。
そして、その治療計画に合わせて、骨を切る手術をする前に1~2年くらいかけて、矯正装置を用いて歯を移動させます(術前矯正)。この術前矯正は、骨を切る手術時にきちんとかみ合うようにするために行います。
術前矯正後、入院して、全身麻酔下で、あごの骨を切って動かす手術を行います。(ふじき矯正歯科では、この手術を中部労災病院でしてもらっています。約2~3週間の入院が必要です。)
そして手術後に、もう少し歯を移動させて、しっかり噛めるように、かみ合わせを仕上げていきます(術後矯正)。
このような、あごの骨を切って動かす手術を併用した矯正治療は、ふじき矯正歯科のような「顎口腔機能診断施設」であれば、「顎変形症」という病名の元、矯正歯科治療もあごの骨を切る外科手術も、すべて健康保険が使えます。
(最近は、「保険が使えるから」という理由で、初めから外科的矯正治療を希望して来院される方もおられますが、外科的矯正治療の適応かどうかについての判断は当院の方で行いますのでご了承ください。)
上記のように、受け口(下顎前突、反対咬合)の矯正治療では、一般的な矯正歯科治療と外科的矯正歯科治療があり、どちらの治療方法にするかによって、治療結果が大きく違ってきます。
一般的な矯正歯科治療では、口元の感じは多少変わりますが、受け口に見える顔の感じはあまり変化しませんので、この点を理解しておく必要があります。
外科的矯正歯科治療では、受け口に見える顔の感じは治りますが、それは顔が少し変わることでもありますので、この点をよく理解しておく必要があります。
また、一般的な矯正歯科治療でも外科的矯正歯科治療でも、治療の際に、歯を抜いたりすることがあります。
歯を抜く・抜かないによっても、治療結果は違ってきます。
いずれにしても、矯正治療前にきちんと検査をして、どこを治したいのかをじっくり患者様と相談して、しっかり治療計画をたててから、矯正治療を開始することが大切です。
余談になりますが、外科的矯正治療は、保険の使える美容医療ではありません。
歯並び・かみ合わせを整えるのがメインの医療です。
この点は十分ご理解いただきますようお願いいたします。
[受け口(下顎前突、反対咬合)を治す矯正装置について]
受け口(下顎前突、反対咬合)を治療するためには、どのような矯正装置が必要になるのでしょう?
一般的な矯正治療の場合も、外科的矯正治療の場合も、よく目にする矯正装置、マルチブラケット装置が必要となります。
一本一本の歯に装置をつけて、すべての歯を一本一本動かす必要があるためです。
詳しくは、「大人の方の矯正装置・痛み・保定について」のページをご覧下さい。
なお、このマルチブラケット装置を装着している期間は、患者さんの状態によって異なりますが、一般的には約2-3年です。
外科的矯正治療の場合は、この2-3年の間のどこかで、2-3週間入院して手術を行います。
[まとめー受け口(下顎前突、反対咬合)の矯正治療を受ける上で大切なこと]
受け口(下顎前突、反対咬合)は自然には治りませんので、気になるようでしたら、歯が健康なうちに、矯正治療されることをお勧めします。
ただ、治療を受ける前には、受け口に見える顔の感じを治したいのか、下の前歯が上の前歯より前に出ているのを治したいのか、という点をご自分でしっかり考えておいた方が良いと思います。
そして、実際に治療を受けるときには、矯正装置とか、治療期間とか、そのようなことにばかり翻弄されないように気をつけてください。
歯は一生使っていくものですから、矯正治療中のことより、治療結果や治療後の生活のことをしっかり考えて治療を受けることが大切です。
矯正治療中より治療後の人生の方が長いですからね。(中途半端な治療を受けて、あとで後悔しないように。。。)
「受け口を治すとともにかみ合わせを整える」「きちんと治す」「矯正治療後に快適に生活できる」ということを忘れないようにして、治療を受けるようにしましょう。
矯正治療は何かと大変ですが、きっと、あの時に治療して良かった、と思っていただけると思います。
受け口(下顎前突、反対咬合)を治したいな、と思われている方、矯正治療へ一歩踏み出してみたら、いかがでしょうか?
まずは、矯正初診相談を受けてみましょう。
受け口(下顎前突、反対咬合)を治療するかどうかは、矯正初診相談後にもう一度よく考えて決めれば良いことですから。。。
ふじき矯正歯科で、矯正初診相談を受けてみようと思われた方は、「初診相談の予約のとり方」のページをご覧ください。
ふじき矯正歯科について知りたい方は、「ふじき矯正歯科のご案内」のページ」をご覧下さい。
ふじき矯正歯科で、矯正歯科治療を受けてみようかなと思われた方は、「矯正歯科治療を受ける前の心構え」も、どうぞお読みください。
どこで矯正歯科治療を受けるべきか迷われている方は、「矯正歯科の選び方」のページ」もご覧下さい。
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