「きれいな歯並び」は、見た目でわかります。
では、「きれいなかみ合わせ」ってどのような状態なのでしょう?
上図のように、上下のおく歯が「1歯対2歯」で、すき間なくかみ合う状態が理想です。決して1歯対1歯でかみ合うのではありません。
また、奥歯でかんだとき、上の前歯が下の前歯を前後的にも垂直的にも2mmくらい覆っている状態が理想です。
矯正歯科治療では、「きれいなかみ合わせ」の仕上がりが大切です。
仕上がりが不十分だと、治療後の安定性が悪くなったり、上手に噛めなくなったりするからです。
歯は、見た目だけのためにあるのではなく、しっかり噛んで食べるために使う大切な器官ですからね。
治療例
写真は、治療前→治療後です。
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(主訴:上の歯が前に出ている、ガタガタした歯並びが気になる、診断:Angle II級上顎前突・叢生、治療開始年齢:18歳、上下左右の第一小臼歯抜歯、マルチブラケット装置装着期間:約2.5年、治療費:約90万円、矯正治療リスクの歯根吸収等はなし。むし歯や歯周病などのリスクも生じませんでした。ただ、矯正治療の痛みと違和感はとても大変だったようです。しかし治療後は、がんばってよかった、ととても喜ばれていました。)
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(主訴:下の歯が前に出ている、前歯で噛めない、ガタガタした歯並びが気になる、診断:Angle III級下顎前突・開咬・叢生、治療開始年齢:18歳、非抜歯(上下左右の親知らず4本は抜歯)、マルチブラケット装置装着期間:約2.5年、(この2.5年の間に、入院して上下顎骨の骨切り手術も行っています。) 治療費(矯正歯科治療分):約25万円(健康保険を使い、3割負担)、この費用の他に入院・手術などの費用が、骨切り手術をした病院の方でかかっています。、矯正治療リスクの歯根吸収等はなし。ただ、骨切り手術後しばらくの間、あごの周りにしびれが残りました。骨切り手術後は、腫れたり、食事できなかったりで、とても大変だったようです。しかし治療後は、きちんと噛めるようになったと、とても喜ばれていました。)
治療前の歯並び・かみ合わせがどのような状態であっても、基本的には上の写真の治療後のような歯並び・かみ合わせ(おく歯が1歯対2歯でかみ、上の前歯が下の前歯を前後的にも垂直的にも2mmくらい覆っている状態)で仕上げることを目指します。種々の理由により、このようなかみ合わせにならない場合もありますが。。。
矯正歯科治療の目標は、「きれいな歯並び」と「きれいなかみ合わせ」にすることだけではありません。
アメリカ矯正歯科学会の認定医試験では、矯正歯科治療の目標を次のように挙げています。(Angle Orhod 2001; 71: 164-169より引用)
・顎顔面の成長コントロール
・顔面のバランスー軟組織の調和と顔面構造のプロポーションーをとること
・歯と顔の審美性の獲得
・歯および歯周組織の健康の獲得
・快適な機能の獲得
・完全な咬合の獲得
・咬合性外傷や外傷性咬合の改善
・第二大臼歯の配列
・好ましいオーバージェットとオーバーバイトの獲得
・すべての歯の捻転の改善
・すべての歯の歯軸の改善
・完全なスペースクローズ
・骨の上に配列されたすべての歯の調和の取れたアーチフォームの獲得
・バーティカルコントロール
・安定性があること
専門用語が多くてよくわからないと思いますが、我々、矯正歯科医は「きれいな歯並び」と「きれいなかみ合わせ」だけでなく多くのことを考えながら、皆様を治療しているのです。
ひとつ気付いて頂きたいことがあります。
上記の目標の中に「装置」という言葉がまったくありません。
矯正歯科治療というと、装置を口の中へ入れることと思いがちですが、装置は、目的を達成するためのひとつの手段であって、装置を入れること自体が目的ではありません。
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