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名古屋市昭和区八事にある矯正専門の歯科医院
(鶴舞線・名城線 八事駅6番出口すぐ) 日曜も診療

ふじき矯正歯科で発行している院内誌です 一部を紹介します!



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Vol.19 (H20年4月) 
 人間の下あごは,とても大きく動きます。例えば,食べ物を噛むときには,上下左右に下あごが動きます。しゃべるときは,下あごが動くことで,明確な発音ができます。志村けんの「アイーン」では,下あごを前に出しています。やってみるとよくわかりますが,下あごは,前や左右,上下に大きく動かせるのです。

 どうしてこんなに大きく動くのでしょう。それは,下あごを動かす「顎関節」に秘密があります。人の手や足の関節は,関節窩(関節のくぼみ)と,そこにつながる関節頭からできており,関節窩の中に関節頭が収まっています。手や足の関節では,関節窩から関節頭が抜け出ることはありません。もし抜け出てしまったら,それは脱臼(だっきゅう)です。しかし顎関節では,普通に関節窩から関節頭が抜け出ます。「アイーン」をして下あごを前に出したり,大きく口を開けたときには,関節窩から関節頭から抜け出ているのです。もちろん抜け出る範囲にも限度があり,自分で元に戻せないほど大きく抜け出てしまった場合は,顎関節脱臼という「あごがはずれた」状態になってしまいます。
 もし顎関節も,手や足の関節のように関節窩から関節頭が抜け出ない構造であったら,我々の口の動きも制限され,食べ物を巧みに噛む動きはできないはずです。そうすると,食べられるものも制限され,現在のように食事を楽しむこともできないかもしれません。人間の体は,本当によく作られていますね。




Vol.20 (H20年6月) 
 飲み込んだ食べ物は,口から食道を通って胃へ送られます。これは,体を起こして食べたときだけでなく,寝ころんだり逆立ちしながら食べても同じです。なぜ,どのような姿勢でも,きちんと胃へ送られていくのでしょうか?食道がただのパイプのような状態であったなら,胃へ送りこまれるばかりでなく,胃から逆流して嘔吐(おうと)することでしょう。しかし,体調が悪いとき以外,嘔吐はしません。通常は,口から胃への一方通行です。

 食道の周りには筋肉があります。実はこの筋肉が,口から食道へ入ってきた食べ物を胃の方へしぼり出すように食道を動かしています。これを蠕動(ぜんどう)運動と言います。しかし,誰もこのような動きを意識していませんよね。食道の周りの筋肉は手足を動かす筋肉と違って,無意識のうちに動く筋肉だからです。
 この蠕動運動のような動きは,食べたものを口からのどの方へ送るときに,舌と上あごの間でも行われています。舌が前の方から少しずつ上あごに押しつけられることで,食べたものがのどの方へ押し出されているのです。食道の蠕動運動は,生まれたときから身についている機能ですが,舌と上あごによる蠕動運動のような動きは,生まれた後で身につく機能です。おいしく楽しく食べるためには,この動きをしっかり身につけることが大切なのです。





Vol.21 (H20年8月) 
 つばを飲み込んでみてください。飲み込むときに,上下の歯はかみ合っていますか?それとも離れていますか?つばくらいの量だと,かみ合わせても,離しても,どちらでも飲み込めると思いますが,本来,上下の歯をかみ合わせて飲み込む方が理想的です。歯は,噛むために重要で,飲み込みには関係なさそうですが,実は飲み込む動きにも重要な役割を果たしています。

 飲み込んだものは食道へ送り込まれます。普段,食道の入り口は閉じており,呼吸をするために気管の方が開いています。飲み込む瞬間だけ,気管が閉じて,食道の入り口が開きます。この食道の入り口を開くために,上下の歯をかみ合わせて,下あごの位置を安定させることが大切になってきます。下あごと食道の入り口を開く筋肉は間接的につながっているため,下あごの位置が不安定だと,食道の入り口を開く筋肉の動きも不安定になってしまうからです。
 最近,噛まない人が増えてきたと言われていますが,噛まないだけでなく,どこでしっかり噛めるのかわからない,かみ合わせが不安定な人も増えてきているように思います。かみ合わせが不安定だと,食べ物をしっかりかめないだけでなく,飲み込みにも問題が出てきてしまいます。自分のしっかり噛めるかみ合わせはわかりますか?一度,皆さんもどこでしっかり噛めるのか,チェックしてみてください。







Vol.22 (H20年10月)
 
皆さんはペットボトルから飲むとき,ペットボトルの飲み口全体を口に入れて飲みますか?それとも,コップと同じように飲み口のふちを上下のくちびるではさんで飲みますか?インターネットで検索すると,「飲み口全体を口に入れた方が男らしい」「コップのようにして飲むと口のまわりに飲み物がついてしまうため,飲み口全体を口に入れて飲む」「飲み口全体を口に入れて飲むと,途中で飲むのをやめたとき,一度口の中へ入った飲み物がまたペットボトルの中へ戻ってしまうため汚い」など,いろいろな意見が見られます。
 口の機能から考えると,どちらの飲み方がよいのでしょう?それは,コップと同じように飲み口のふちを上下のくちびるではさむ飲み方です。こうして飲むことで,くちびるに飲み物が接触し,くちびるから飲み物の情報が伝わり,呼吸と協調しながら口へ入れる量などを調節する動きにつながるためです。飲み口全体を口に入れて飲んだ場合は,くちびるに飲み物が接触しませんので,飲み物の情報が伝わらず,直接のどの奥の方へ飲み物は流れていき,むせたりせき込んだりする原因になります。若いうちはこれで飲めても,年をとって筋力が衰えてくると,上手に飲めない状況になるかもしれません。
 最近,ペットボトルの飲み口全体を口に入れて飲んでいる子どもさんをよく見かけます。口のためにも,体のためにも,飲み口のふちを上下のくちびるではさむ飲み方を習慣化した方がよいと思います。





Vol.23 (H20年12月) 
 肩をまわさず,首だけ左へまわして,つばを飲み込んでみてください。なんだか飲み込みにくくありませんか?次は,おもいっきり上を向いて飲み込んでみてください。とても飲み込めませんね。飲み込むときに働く筋肉は首の筋肉につながっているため,首がおかしな方向を向いていると,飲み込みにくくなるのです。
 医療の現場では,脳梗塞で右側や左側に麻痺が生じた場合,誤嚥しないよう,麻痺している側を向いて嚥下するように指導したりします。横を向くことで,麻痺している側へ食べ物が落ち込んで,気管の方へ流れていくのを防いでいるのです。しかし健常な人がこのようにして飲み込むと,左右の筋肉はしっかり動きますので,とても窮屈な感じになってしまいます。このようなおかしな姿勢で毎日食事をしていると,本来飲み込みにくいはずの姿勢で普通に飲み込めるようになり,逆によい姿勢だと飲み込みにくくなる,といった状態になっていくかもしれません。人間の体はとても良くできていて,毎日の習慣にどんどん適応していきますからね。
 最近,多くの方々に「斜め前にあるテレビを見ながら食事をしていませんか?」と尋ねています。毎日,横を向いて食事をしていると,飲み込み方が左右非対称になり,そこから姿勢が悪くなり,歯並びが乱れてくるかもしれないからです。皆さんも,毎日の食事の姿勢を,一度,見直してみてください。そして,食事の時にはできるだけテレビは消して,家族との会話を楽しむようにしましょう。







Vol.24 (H21年2月) 
 口の中ってとても敏感です。例えば,口の中に髪の毛1本あるだけで気付きますよね。また,魚を食べているときに小さな骨が混じっていても気が付きます。どうして,こんなに敏感に感じ取れるのでしょうか?
 一般的に,舌や唇がとても敏感であることは御存知の方も多いと思います。実際,歯に詰めものをしたとき,歯と詰めたものの違いを舌でなめるだけで感じとることができますよね。実は,これに加えて,歯もとても敏感なのです。試しに,上下の歯でティッシュペーパーを噛んでみて下さい(上下の歯がかみ合っている部位で噛んで下さいね)。何かを噛んでいるということがわかるでしょう。一方,人差し指と親指で同じ厚さのティッシュペーパーをつまんでみてください。実際につまんでいるかどうかは目で見ないとわからないと思います。歯は指先よりも敏感なのです。厳密にいうと,歯ではなく,歯の周りにある歯根膜という部分が微妙な感覚を感じとっています。何かを噛むと歯が微妙に動き,それを歯のまわりにある歯根膜が感じとっているわけです。
 矯正治療中の人は,ティッシュペーパーを噛んでも少しわかりにくいかもしれません。なぜなら動かしている歯の歯根膜の感覚は少し鈍くなってしまうからです。鈍くなっていなければ,歯に動かす力を加えたとき,四六時中,何かを噛んでいるような不快感が続いてしまうはずですが,そんなことはないですよね。人間の体って本当によくできていますね。



ふじき矯正歯科

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