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名古屋市昭和区八事にある矯正専門の歯科医院
(地下鉄八事駅6番出口すぐ) TEL:052-835-8711

当院で発行している院内誌の一部を紹介します



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Vol.49 (H25年4月)
 「私は矯正した方がよい歯並びですか?」とよく聞かれます。この質問への回答は,実はとても難しいです。
 約20年前のイギリス矯正歯科学会誌に,Index of Orthodontic Treatment Need (IOTN)という,矯正治療の必要性の指標を示した論文が掲載されています。歯に関して5段階,審美に関して10段階に分けられており,この段階が高い人ほど矯正治療の必要性が高いという指標です。例えば,歯に関する項目で一番必要性が高いGrade5には,一部の歯の萌出が妨げられるほどひどいガタガタした歯並びや,上の前歯と下の前歯の前後的距離が9mm以上の出っ歯,などが挙げられています。では,矯正治療の必要性が高いGrade5であれば「矯正した方がよいですよ」と治療を勧めた方がよいのでしょうか?私は,ちょっと違うような気がします。矯正装置を装着することでむし歯になりやすくなるなど矯正治療にはリスクがありますし,なにより矯正しなくても普通に生活できますからね。この指標は現在も海外で使用されていますが,主として矯正治療に対する保険給付金を決めるために使われており,矯正治療を勧めるためには使われていません。
 したがって「矯正した方がよいですか?」と質問された場合,ガタガタの程度や出っ歯の程度についてのお話しはできるのですが,矯正した方がよいかについてのお答えには,ちょっと困ってしまいます。私は多くの場合,「自分自身の歯並び・かみ合わせの問題点を認識し,がんばって治したい,という気持ちを持たれていれば,矯正されたらよいと思いますよ」と回答しています。当院に通院中の方は,矯正治療の大変さを,もうすでにわかっていると思いますので,なんとなくご理解いただけますよね。






Vol.50 (H25年6月)
 飲み込む時には,一瞬呼吸が止まります。のどのあたりは,息をする通路,食べ物を通す通路,両方の通路になりますので,飲み込む時には,呼吸を止めて食べ物を通すのです。では,鼻をつまんで,つばを飲み込んでみて下さい。鼻をつままずに飲み込むのと,なんだか違いますよね。飲み込むときに呼吸は止まりますが,飲み込む前後には鼻から呼吸できることが大切なのです。もし,鼻をつまんでも普段と変わらない感覚で飲み込めるようでしたら,口呼吸が疑われます。口呼吸の人は,いつも鼻を使わずに口で息をしているわけですから,鼻をつまんでもつままなくても,状態は同じですからね。
 近年の研究によると,いつも口で息をしている口呼吸の人は,飲み込む時の呼吸の止まるタイミングが鼻呼吸の人より早い,という報告があります。通常は,舌が上あご(口蓋)に接触した後で呼吸が止まるのですが,口呼吸の人は先に呼吸を止めて,その後で舌を上あご(口蓋)につけいると,その研究では示されています。飲み込みはとても短時間で行われますので,自分でやってみてもよくわからないと思いますが,正確に分析すると,口呼吸の人は鼻呼吸の人より,飲み込む時の呼吸の止まるタイミングが早いのです。口呼吸の人の場合,飲み込んだものが気管に入らないようにする防御反応が自然に起きて,早めに呼吸を止めているのではないか,とこの研究では考察されています。
 人間の体は,少し問題が生じても,それを自然に修復したり補ったりするようにできています。したがって,口呼吸でも飲み込むことはできますので,それはそれでよいのかもしれません。しかし,人間の持っている能力を最大限に引き出すために,鼻から呼吸して,きちんとした飲み込み方を身につけることが,私は大切だと思っています。





Vol.51 (H25年8月)
 歯みがきをした後,ジュースを飲んだり果物を食べたりして,とても変な味に感じたことはありませんか?私は何度も経験があるので,歯みがきをした後は,食べたり飲んだりする気になれません。どうして,変な味に感じてしまうのでしょう?
 この原因は,歯磨き粉に入っている界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」にあるといわれています。過去の研究で,「ラウリル硫酸ナトリウム」を口に含んだ後は,甘味,酸味,苦味などの味覚が弱められることが報告されています。味を全般的に弱く感じてしまうということです。ただ,「クエン酸」に含まれる弱い苦味だけは,「ラウリル硫酸ナトリウム」によって増強されることも示されています。したがって,歯みがき後に「クエン酸」を含むグレープフルーツジュースを飲んだり,みかんを食べたりすると,甘味や酸味などは抑えられて感じるのに,「クエン酸」の苦味だけは増強されるため,変な味に感じてしまうのです。
 約40年前,ある有名な先生がこの点を研究し,「ラウリル硫酸ナトリウム」を含まない歯みがき粉が開発されたこともあるようです。そして大手メーカーから,「歯みがき後の後味を変えない」とのうたい文句で,販売されていたそうですが,最近は見かけません。歯みがき粉に含まれる「ラウリル硫酸ナトリウム」は,せっかく歯みがきをして,口の中を清潔にしたのだから,その後は飲食を控えなさい,という警告をしてくれているのかもしれませんね。




Vol.52 (H25年10月)
 食事の時に,自分自身が何回噛んでいるのか,数えたことありますか?「よく噛んで食べましょう」と言われていますので,数えたことがある人もいるかもしれませんが,自分が何回噛んでいるのかを知らない人がほとんどだと思います。
 大人の場合,同じ人が同じものを食べる時に飲み込むまでの噛む回数は,ほぼ一定であることが過去の研究で示されています。例えば,おにぎりを食べる時に,20回噛んで飲み込む人はいつも20回噛んで飲み込み,40回噛んで飲み込む人はいつも40回噛んで飲み込むということです。ほぼ一定ということで,数回程度の誤差はあるようですが。。。(試しに,皆さんも噛む回数を数えてみたら,おもしろいと思いますよ。)これは,成長とともに食の経験が増えて,その人の噛む回数が決まっていくと考えられています。したがって,まだ食経験の少ない8歳くらいまでの子どもの場合,飲み込むまでの噛む回数は,大人と違ってばらつきがあります。おにぎりを食べる時に,ある時は20回噛んで飲み込み,ある時には40回噛んで飲み込むといった感じです。
 このような研究結果を見ると,子ども時代によく噛む習慣を身につけることの大切さがわかります。実際には,一口量(1回に口へ入れる量)が成長とともに少しずつ決まっていき,それとともに噛む回数も決まっていくようですので,たくさん噛むようにするだけでなく,一口量にも注意する必要があります。食べ方については,まだ不明な点がたくさんありますが,子どもの時に,きちんとした食習慣を身につけることが大切なのだと思います。




Vol.53 (H25年12月)
 「寝ている時によく歯ぎしりをしているのですが,かみ合わせが悪いからでしょうか?」と相談されることがあります。歯ぎしりに関しては,現在のところ原因はわかっていませんが,寝ている時にあごが動いて歯ぎしりが生じるわけですから,かみ合わせよりも,あごを動かす筋肉の問題と考えた方がよいと思います。
 寝ている時には,歯ぎしりをしない人でも,あごを動かす筋肉が活動して多少あごが動きます。しかし,歯ぎしりをする人は,しない人より,あごを動かす筋肉の活動頻度が3倍程度高い,と言われています。歯ぎしりをする人は,しない人より,寝ている時にたくさんあごが動くということです。なぜ,筋肉の活動頻度が違うのかについてはわかっていませんが,歯ぎしりをする人は,歯ぎしりをする要因をなにか持っていると考えられています。一般的には,ストレスや睡眠障害,遺伝などが,歯ぎしりの要因と考えられていますが,それぞれが単独で歯ぎしりを引き起こすわけではなく,多くの因子が複合的に作用して歯ぎしりは生じるようです。
 歯ぎしりの治療には,マウスピースのような装置を使ったり,薬物療法,認知行動療法などがありますが,その効果には個人差があり,確実に歯ぎしりをとめる方法は現在のところありません。しかし,歯ぎしりがあったとしても,歯ぎしりに伴って問題が生じることは少ないため,あまり気にしなくてもよいのではないでしょうか。特に,子どもの歯ぎしりは,年齢とともに減少していくことが明らかにされていますので,なにか大きな問題がないかぎり,成長を見守っていけばよいと思います。
 


Vol.54 (H26年2月)
 あなたは今,上下の歯が接触していますか?それとも上下の歯は離れていますか?急に言われても,よくわからないかもしれませんが,普段の何気ない時には,上下の歯は離れているのが理想的です。
 口を開けたり閉じたりする時には,それぞれ,口を開ける時に働く筋肉と口を閉じる時に働く筋肉が活動します。普段のなにもしていない時には,この両方の筋肉が釣り合いのとれた状態で口は維持されます。通常,上下の歯が2〜3mm離れた状態になっているはずです。頭の角度や姿勢などによって上下の歯の離れる程度は多少変化しますが,基本的に上下の歯は離れています。「上下の歯はいつも接触しているような気がする」という人もおられると思います。そのような人は口を閉じる時に働く筋肉がいつも活動しているということになります。ずっと重いものを持っていると,ずっと腕の筋肉を活動させることになり,腕の筋肉が疲れます。これと同じで,いつも上下の歯が接触していると,いつも口を閉じる時に働く筋肉が活動していることになり,この筋肉は疲れてしまいます。そうすると,口の周りがだるくなったり,痛くなったり,頭痛や肩こりなどが生じることもあります。
 いつも上下の歯が接触している方がおられましたら,普段から上下の歯を離すようにしてみましょう。精神的に強い緊張状態にある場合は,いつも上下の歯を噛みしめがちになるので,「上下の歯を離してリラックス!」を意識しましょう。ただ,上下の歯を離しすぎないこと(離すのは2〜3mm,全ての筋肉がリラックスできる程度),上下のくちびるまで離して,いつも口が開いた状態にならないように注意しましょう。




ふじき矯正歯科

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