小学生の子どもさんの矯正歯科治療解説ページです。(中学生も一部含みます。)
下あごが前に出ていたり、下の前歯が前に出ていると、なんだか気になりますよね。
審美的な面を気にされている方が多いと思いますが、実際、受け口(下顎前突、反対咬合)の人は、噛む機能に問題を抱えていることが多く、あまり噛まずに食べ物を丸飲みするとか、上手に噛めないために食べるのが遅くなったりします。そのため、胃に負担がかかりやすく、お腹をこわしやすくなる、という研究データもあります。
また、受け口(下顎前突、反対咬合)の人は、舌に問題を抱えていることも多く、舌の影響で、ますます受け口(下顎前突、反対咬合)をひどくしてしまっている場合もあります。例えば芸能人などで、しゃべる時に舌が前に出る人を見かけることがあると思います。そのような人の口をよく見てみてください。たいていの人が受け口です。
要は、受け口(下顎前突、反対咬合)は、見た目の問題だけでなく、口の機能(食べたり、話したりなど)にも問題を抱えている場合が多いのです。
そのためか、長い目でみると、受け口(下顎前突、反対咬合)の人は、むし歯や歯周病などで歯を失うリスクが高く、80歳で20本以上歯が残っている人を調べたら、受け口の人はいなかった、との研究データもあります。
ですので、もし受け口(下顎前突、反対咬合)を気にされているのであれば、歯が健康なうちに矯正歯科治療された方が良いと思います。
とはいえ、なかなか踏ん切りはつかないですよね。
いつ矯正歯科治療を始めたらよいのだろうか?、矯正装置に対する不安、治療期間や費用はどれくらいかかるのだろうか?、など、いろいろ心配があると思います。
でも、あまり心配し過ぎないでくださいね。
きちんと治療すれば、受け口(下顎前突、反対咬合)はきちんと治りますので。
[受け口(下顎前突、反対咬合)の子どもの矯正治療]
受け口(下顎前突、反対咬合)の子ども場合、たいてい上顎に対して下顎が前にあります。
下顎が前にあるために、受け口(下顎前突、反対咬合)になっているわけです。
大人の骨格的な受け口(下顎前突、反対咬合)
そこで、上顎の成長を促したり、下顎がますます大きく成長していかないようにしたりして、上顎と下顎の前後的関係を整えるのが、子どもの受け口(下顎前突、反対咬合)の矯正治療目標になります。
上顎と下顎がバランス良く成長していくことを目指すのです。
一般的には、上顎が成長するのは9-10歳頃まで、下顎が成長するのが12-13歳頃までと言われていますので(とても個人差が大きいので、あくまで目安と思ってください)、上顎の成長を促す矯正治療をする場合、できれば7歳頃までには開始したいところです。
9-10歳以降で上顎の成長を促そうとしても、成長自体がないわけですから、あまり効果は期待できないかもしれませんので。
しかし、9-10歳以降でも、上顎の成長を促す方法はあります。(その方法については後述します。)
(大変申し訳ありませんが、ふじき矯正歯科では、現在、諸般の事情により、10才未満の方の矯正歯科治療は行っておりません。受け口(下顎前突、反対咬合)は、上記の通り、早めに治療を開始した方がよい場合がありますので、他院で早めに相談されることをお勧めします。
小さな子どもの時には、それほど重度でなくても、成長とともに下顎が大きく成長し、骨格に問題のある受け口(下顎前突、反対咬合)になっていくこともありますので、子どもさんの受け口(下顎前突、反対咬合)が気になるようでしたら、早めに対応された方がよいと思います。
成長がほぼ終了していたら、より良い顎の成長を引き出す治療はできませんので、大人の矯正治療で治療することになります。
大人になってからでも、受け口(下顎前突、反対咬合)の治療は可能ですので、ご心配なく。。(詳しくは、「受け口(下顎前突)を治したい大人の方」のページをご覧下さい。)
[受け口(下顎前突)の子どもの矯正治療開始のタイミング(治療開始時期)]
受け口(下顎前突、反対咬合)の子どもさんの矯正治療を開始するタイミングは、できるだけ早い方がよい、と私(院長)は考えています。
受け口(下顎前突、反対咬合)の子どもは、下顎より上顎の成長が劣っている場合が多いのですが、上顎は下顎より早く成長が終了してしまいます(身長が一気に大きくなる思春期成長の頃には、上顎はほとんど成長せず、下顎ばかり成長します)ので、上顎の成長が十分残っているうちに、治療をした方が良いためです。
また、受け口(下顎前突、反対咬合)に伴う噛む機能の問題(噛まずに丸飲みするなど)や、舌の問題などが、成長とともに癖になってしまい、受け口(下顎前突、反対咬合)をますます悪化させる要因になることがあるためです。
(大変申し訳ありませんが、ふじき矯正歯科では、現在、諸般の事情により、10才未満の方の矯正歯科治療は行っておりません。受け口(下顎前突、反対咬合)は、上記の通り、早めに治療を開始した方がよい場合がありますので、他院で早めに相談されることをお勧めします。)
とはいえ、あまりにも小さい時から、矯正治療を開始しなくてもよいと思います。泣き叫ぶ子どもさんを抑えつけてまでしなくてはならない治療ではありませんからね。
嫌がっている子どもを抑えつけて治療すると、それがトラウマとなり、その後の治療が困難になる場合がありますので、私(院長)は、子どもさん自身が矯正治療についてなんとなく理解できるようになってから、治療を開始するのがよいと考えています。
子どもの受け口(下顎前突、反対咬合)の矯正治療は、できるだけ早く開始した方が良いのは確かですが、実際のところ、何歳になっても、受け口(下顎前突、反対咬合)の治療方法はありますので、あまり心配しすぎないようにしましょう。
[受け口(下顎前突)の子どもに矯正治療をするメリット・デメリット(利点・欠点)]
子どもの矯正治療をするメリットですが、比較的簡単に治療できる可能性が高くなる、という点が挙げられます。
例えば、下図のような受け口(下顎前突、反対咬合)だったとします。
子どもの場合、上顎の成長を促して上顎が前に成長すると、上の図で上の歯と歯茎(ピンクの部分)の部分が一体となって前に出る感じになります。そうすると、受け口(下顎前突、反対咬合)が治っていく感じが、なんとなくイメージできますでしょうか。
成長のある子どもの場合、うまく成長を利用できれば、比較的簡単に受け口は治せる、ということです。
大人の場合、成長がありませんので、子どものように上顎が前に出ることはありません。この骨格のまま、前歯の傾きを変えるだけで、受け口(下顎前突、反対咬合)を治すことになります。もし、顎の位置を変えたい、となると、顎骨を切る手術をして、下顎を後ろに下げるなどして治療することになります。
したがって、大人になって受け口(下顎前突、反対咬合)を治す場合は、少し治療が大がかりになることがあります。(詳しくは、大人の受け口の治療ページをご覧下さい。)
顎骨を切る手術に抵抗がない方は、全部の永久歯が生えてから、顎の成長が終了してから矯正治療を開始しても良いと思います。
しかし、骨を切る手術は患者さん自身もそれなりに大変なので、できるのであれば、成長のある子どもの時から矯正治療を開始した方が良い、と私(院長)は考えています。
受け口(下顎前突、反対咬合)の子どもに矯正治療をする場合のデメリットとしては、治療期間が長くなる、ということが挙げられます。仮に、小学校の低学年から矯正治療を開始したとしても、成長がある程度終了し、永久歯がすべて生えそろうのは、たいてい中学生以降ですから、その間は、定期的に通院する必要があるためです。最終的には、永久歯をきちんと並べて、かみ合わせを整える、というところが治療目標ですからね。(乳歯をきれいに並べても仕方ない、ということはご理解いただけるでしょう。)
この長期にわたる通院期間の間に、実際に矯正装置をつけているのは、人によってさまざまですが、だいたい2年程度です。受け口(下顎前突、反対咬合)は成長とともに再発することがありますので、そのような場合は、もう少し長くなります。
治療が順調に進めば、受け口(下顎前突、反対咬合)が治った後は矯正装置を使うことなく、変な成長をしていないか、きちんと永久歯に生え変わっているか、などを定期的にチェックし、なにか問題が生じたら、それに対応していく、という感じになります。
一般的には、この「子どもの矯正治療」の後、1本1本の歯をきちんと並べて、かみ合わせを整える「大人の矯正治療」を行います。子どもの矯正治療は、顎骨のより良い成長を引き出しているだけで、1本1本の歯の位置までは整えていませんからね。
[受け口(下顎前突、反対咬合)の子どもの口腔機能(食べたり話したりなど)]
口の機能(食べたり話したりなど)のことを考えると、子どもの時から矯正治療を開始した方がメリットは大きいと思います。
例えば、簡単な例として、受け口(下顎前突、反対咬合)の人は上の前歯より下の前歯の方が前に出ていますので、食べ物を上手に噛むことができません。この状態が長く続くと、この上手に噛めない口の動きが癖になってしまいます。そうすると、受け口(下顎前突、反対咬合)が治った後も、その癖が出やすくなります。受け口が治ってかみ合わせがよくなっても上手に噛めない、という状態になることがあるのです。
子どものうちに受け口(下顎前突、反対咬合)を治すと、早いうちにこの癖も治りますので、上手に噛めるようになる可能性が高くなります。
ふじき矯正歯科では、すべての患者さんにお口のトレーニングを行い、すべての患者さんがきちんと噛めるようになるよう、しっかり指導していますが、子どもの方が癖が治りやすいようです。
したがって私(院長)は、できるのであれば、「子どもの矯正治療」をした方が良いと考えています。
[子どもの受け口(下顎前突)を治すための矯正装置]
矯正装置についてですが、受け口(下顎前突、反対咬合)の子どもの矯正治療では、多くの場合、上顎前方牽引装置やリンガルアーチを用いて治療します。
上顎前方牽引装置は、基本的に夜間の就寝時や、家にいるときにのみ使います。学校に行く時などには、つけません。
上顎の成長をあまり期待できない9-10歳以降の子どもで上顎を成長させたい場合は、上顎前方牽引装置と上顎急速拡大装置を併用します。
上顎を拡大しながら上顎を前方へ引っ張ることにより、上顎の前方への成長を促せますので。。(過去の研究で、その効果は明らかにされています。)
受け口(下顎前突、反対咬合)だけであれば、これらの矯正装置だけで治療できる場合もありますが、受け口(下顎前突、反対咬合)に付随して他の問題を抱えていることも多々ありますので、他の矯正装置を使う必要が出てくることもしばしばあります。特に、子どもの場合は、永久歯に生え変わるときに、おかしなところから歯が生えてくるなど、成長とともに違う問題が生じる場合が多々ありますので、それに応じて、他の矯正装置を使う必要が出てきます。
要は、口の中に問題が生じたら、それに合わせて矯正装置を考えて治療していくわけです。従って、この矯正装置だけですべてが治る、などとは考えないようにすることが大切です。
矯正治療は、この矯正装置を使ってどうやって治そうか、など、矯正装置から考えるのではなく、あなたの受け口(下顎前突、反対咬合))をどのように治そうか、という治療目標を立てて、その目標へ向かうためには、どんな矯正装置を使うのが良いのかを考えて治療していきます。
要は、矯正装置入れることが目的なのではなく、受け口(下顎前突、反対咬合)を治すことが目的で、受け口(下顎前突、反対咬合)を治す手段として、矯正装置を使うのです。
矯正治療中の通院は、矯正装置を使っているときには1~1.5か月に1回程度、矯正装置を何も使っていないときは、2~3か月に1回程度です。通院はこの程度で、美容院や床屋へ行く頻度と同じ、または、それより少ないくらいですので、あまり負担はないと思います。
ただし、指示に従って定期的に通院することは大切です。
[まとめー子どもさんの受け口(下顎前突)の矯正治療について]
受け口(下顎前突、反対咬合)の人は、見た目だけでなく、口の機能(噛む動き)など、口の健康にも問題を抱えている場合が多いです。
したがって、もし子どもさんの受け口(下顎前突、反対咬合)が気になるようでしたら、早めに矯正治療されることをお勧めします。
(大変申し訳ありませんが、ふじき矯正歯科では、現在、諸般の事情により、10才未満の方の矯正歯科治療は行っておりません。受け口(下顎前突、反対咬合)は、上記の通り、早めに治療を開始した方がよい場合がありますので、他院で早めに相談されることをお勧めします。
子どもの矯正治療は、少しでも良い成長を引き出すことを目指して行います。
受け口(下顎前突、反対咬合)の子どもさんは、下顎に比べて上顎が小さいことが多いので、上顎のより良い成長を引き出すことが治療目標となります。
上顎は、下顎より早く成長が終わりますので、上顎のより良い成長を引き出すためには、少しでも早く矯正治療を開始した方が良いと思います。
ただし、治療を受ける際には、子どもさんが矯正治療に前向きに取り組んでいけることが大切です。矯正歯科医や両親がいくら頑張っても、実際に治療を受けるのは、子どもさん自身ですからね。
そして、実際に治療を受けるときには、矯正装置のこととか、治療期間のこととか、そのようなことにばかり翻弄されないように気をつけましょう。
「受け口を治すとともにかみ合わせを整える」「きちんと治す」「矯正治療後に快適に生活できる」ということを忘れないようにして、治療を受けるようにしましょう。
矯正治療は何かと大変ですが、きっと、あの時に治療して良かった、と思っていただけると思います。
子どもさんの受け口(下顎前突、反対咬合)が気になるようでしたら、一度、矯正初診相談を受けてみましょう。
治療するかどうかは、矯正初診相談後にもう一度よく考えて決めれば良いことですから。。。
ふじき矯正歯科で、矯正初診相談を受けてみようと思われた方は、「初診相談の予約のとり方」のページをご覧ください。
ふじき矯正歯科で、矯正歯科治療を受けてみようかなと思われた方は、「矯正歯科治療を受ける前の心構え」も、どうぞお読みください。
ふじき矯正歯科について知りたい方は、「ふじき矯正歯科のご案内」のページをご覧下さい。
どこで矯正歯科治療を受けるべきか迷われている方は、「矯正歯科の選び方」のページもご覧下さい。
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