小学生の子どもさんの矯正歯科治療解説ページです。(中学生も一部含みます。)
上の前歯が前に出ていると、歯が目立ってしまって、気になりますよね。
特に子どもの場合は、自転車で転んだりして、前歯を折ったりするリスクが高くなります。
実際、私(院長)も出っ歯(上顎前突)だったため、子ども時代に前歯をぶつけて、前歯を折ってしまいました。現在、この歯は修復治療してなんとか保っていますが、歯の神経はなく、歯が少し黒くなっています。
なので、出っ歯(上顎前突)の子どもさんを見ると、できたら治してあげたいな、と思ってしまいます。
出っ歯(上顎前突)だと、将来的にも、口を閉じにくく、むし歯や歯周病の原因になったりもしますからね。
ちなみに、歯が折れてしまったら、矯正治療ができなくなったり、治療方法に制限が出てくる場合があります。もし出っ歯(上顎前突)を気にされているようであれば、歯が健康なうちに矯正治療された方が良いと思います。
とはいえ、なかなか踏ん切りはつかないですよね。
いつ矯正治療を始めたらよいのだろうか?、矯正装置に対する不安、治療期間や費用はどれくらいかかるのだろうか?、など、いろいろ心配があると思います。
でも、あまり心配し過ぎないでくださいね。
きちんと治療すれば、出っ歯(上顎前突)はきちんと治りますので。
[出っ歯(上顎前突)の子どもの矯正治療開始のタイミング(治療開始時期)]
子どもの矯正治療では、少しでも良い成長を引き出すようにします。
出っ歯(上顎前突)の子どもの場合、上顎に対して下顎が後ろにあることが多いため、下顎の成長を促すことを考えて治療します。
したがって、出っ歯(上顎前突)の子どもの矯正歯科治療開始のタイミングとしては、今後、下顎の成長が見込めるかがポイントになります。
一般的には、上顎が成長するのは9-10歳頃まで、下顎が成長するのが12-13歳頃までと言われていますので(とても個人差が大きいので、あくまで目安と思ってください)、下顎の成長を促す矯正治療をする場合、できれば10歳頃には開始したいところです。
(申し訳ありませんが、現在、当院での治療開始時期は、諸般の事情により、早くても10歳以降とさせていただいております。)
しかし、成長は個人差がとても大きく、もう下顎の成長はあまりないかな、と思うような人でも、予想以上にうまくいくこともあります。
なので、気になったら、一度ご相談されることをお勧めします。
もし下顎の成長がなくても、大人の矯正治療で治すこともできますので
[出っ歯(上顎前突)の子どもの矯正歯科治療について]
治療開始のタイミングのところでも書きましたが、出っ歯(上顎前突)の子どもの多くは、上顎に対して下顎が後ろにあります。
そこで、下顎の成長を促すように治療していきます。
上の2つのイラストを比較してみてください。
前歯の角度が変化するとともに、下顎の歯肉部分(ピンク色の部分)も前に出てきます。
これが、下顎の成長を促す治療です。
これは、成長のある子どもだからこそできる治療で、成長のない大人にはできません。
ただ、成長能力は、人それぞれです。
全ての人が身長180cmまで伸びないのと同じで、顎の大きさも全ての人でいくらでも大きくなるわけではありません。
逆に、もう成長は無理だろう、と思っていた人でも、予想以上に成長が見られるときもあります。
成長を促す治療の効果は、個人差があるということです。
実際の矯正治療の効果は、成長能力だけでなく、装置の使用時間や遺伝の影響、普段の姿勢など、いろいろな要因によって違ってきます。
このような子どもの矯正歯科治療を行い、顎の成長がほぼ終了した時点で、大人の矯正歯科治療をするかどうか、する場合はどのように治療するのかを再度患者様と相談します。
出っ歯(上顎前突)の子どもの場合、子どもの矯正歯科治療だけで、とてもきれいになる人が多く、ふじき矯正歯科では、60~70%の人が子どもの矯正歯科治療だけで終了しています。
[出っ歯(上顎前突)の子どもに矯正治療をするメリット・デメリット(利点・欠点)]
出っ歯(上顎前突)の子どもに矯正治療をするメリットですが、将来的に健康な永久歯を抜かずに矯正治療できる可能性が高くなる、比較的簡単な矯正装置(夜だけ使う矯正装置、部分的に装着する矯正装置など)だけである程度きれいになる可能性がある、という点が挙げられます。
逆にデメリットとしては、治療期間が長くなる、ということが挙げられます。仮に、小学校の低学年から矯正治療を開始したとしても、永久歯がすべて生えそろうのは、たいてい中学生以降ですから、その間は、定期的に通院する必要があるためです。最終的には、永久歯をきちんと並べて、かみ合わせを整える、というところが治療目標ですからね。
この治療期間について、早く矯正歯科治療を始めれば、早く治療が終わると思われている方もおられるかもしれませんね。
残念ながら、そうではありません。
一般的な矯正歯科治療のゴールは、永久歯をきれいに並べてかみ合わせることですので、通常、全ての永久歯が生えそろうまで治療は続きます。
最初の治療がうまくいき、その後は、乳歯から永久歯へきれいに生え変わるのを経過観察しているだけ、という場合もありますが、それでも、すべての永久歯が生えそろうまで通院は必要です。
したがって、できるだけ治療期間を短くしたいという場合は、全て永久歯に生え変わってから、出っ歯(上顎前突)に対する大人の矯正歯科治療をするのもひとつの方法だと思います。
上記のように(他にもいろいろありますが)、出っ歯(上顎前突)の子どもの矯正歯科治療には、メリットとデメリットがあります。
私(院長)は、デメリットよりメリットの方が大きいと考えられるときに、子どもの時から矯正歯科治療開始することを勧めています。
この点については、患者様とじっくり話し合って決めていくところです。
[余談ーお忙しい方は、この項は読まずにとばしてください]
2000年頃に、アメリカやドイツなどで、出っ歯(上顎前突)の子どもの矯正治療に関して、大規模な研究がたくさん行われました。
結果として、「子どもの矯正治療をした場合と、大人になってから矯正治療した場合で、治療結果に違いはなかった」「子どもの矯正治療は、効果に大きなばらつきがある(矯正装置の効果がしっかり現れる人もいるが、全く効果のない人もいる)」など、出っ歯(上顎前突)の子どもの矯正治療に対して否定的な内容の論文がたくさん発表されました。
しかし一方で、「子どもの矯正治療をすることにより、前歯を折ったりする外傷率が減少した」、「子どもの矯正治療だけである程度きれいになる人が多く、仮に大人の矯正治療が必要になった場合でも、治療の難易度が低くなるため、患者側、ドクター側、双方に大きなメリットがある」など、出っ歯(上顎前突)の子どもに対する矯正治療は有益である、という報告もたくさんされています。
これらの研究からわかるように、出っ歯(上顎前突)の子どもに対する矯正治療については、世界中で様々な考え方があります。正直なところ、私(院長)も悩むことが多々あります。
しかし、私(院長)個人の考えとしては、やはりできるだけ出っ歯(上顎前突)の子どもさんに対しても、子どもの矯正治療をしてあげたい、と考えています。前歯を折ってしまう外傷を防いだり、健康な永久歯を抜かずに矯正治療できる可能性が高くなるとともに、口の機能を重要視しているためです。
例えば、口の機能の簡単な例として、出っ歯(上顎前突)の人は前歯がじゃまで、楽に口を閉じるのが難しい人がたくさんいます。
このような人に大人の矯正治療をすると、前歯が後ろへ下がって口を閉じやすくはなるのですが、矯正治療前の癖が残り、いつもポカンと口を開けたままになってしまう人がいます。
これを、子どもの矯正治療から開始すると、成長するためか、出っ歯(上顎前突)の改善に伴い、口を自然に閉じられるようになる人がたくさんいます。
他にも、きれいな噛み方、飲み込み方、舌・唇の位置や動きなど、たくさんの大切な口の機能まで、身につけやすくなります。
成長とともに、たくさんのことを身につけますからね。
このように、口の機能を考えると、子どもの矯正治療から開始した方が、メリットが大きいため、私(院長)は、出っ歯(上顎前突)の子どもに対しても、子どもの矯正治療をした方が良いと考えています。
[子どもの出っ歯(上顎前突)を治すための矯正装置]
矯正装置についてですが、出っ歯(上顎前突)の子どもの矯正治療では、多くの場合、ヘッドギアやファンクショナルアプライアンス(機能的矯正装置)を用いて治療します。
これらの矯正装置は、基本的に夜間の就寝時や、家にいるときにのみ使います。学校に行く時などには、つけません。
出っ歯(上顎前突)だけであれば、これらの矯正装置だけで治療できますが、出っ歯(上顎前突)に付随して他の問題も抱えている場合は、他の矯正装置を使ったりもします。
「友達はこんな矯正装置を使っていたので、私もこの矯正装置が良い」と言われることがあります。しかし、よく考えてみてください。あなたの歯並び・かみ合わせと友達の歯並び・かみ合わせは違います。あなたには、あなたの出っ歯(上顎前突)を治すために必要な矯正装置を考えて使用します。あなたの口の中で、友達の歯並び・かみ合わせを治すわけではありませんからね。
この矯正装置を使ってどうやって治そうか、など、矯正装置から考えるのではなく、あなたの出っ歯(上顎前突)をどのように治そうか、という治療目標を立てて、その目標へ向かうためには、どんな矯正装置を使うのが良いのかを考えるわけです。
要は、矯正装置入れることが目的なのではなく、出っ歯(上顎前突)を治すことが目的で、出っ歯(上顎前突)を治す手段として、矯正装置を使うのです。
矯正治療中の通院は、矯正装置を使っているときには1〜1.5か月に1回程度、矯正装置を何も使っていないときは、2〜3か月に1回程度です。通院はこの程度で、美容院や床屋へ行く頻度と同じ、または、それより少ないくらいですので、あまり負担はないと思います。
ただし、指示に従って定期的に通院することは大切です。
[まとめー子どもの出っ歯(上顎前突)の矯正治療について]
出っ歯(上顎前突)の子どもさんは、転んで前歯を折るリスクが高くなったり、将来的にむし歯や歯周病で歯を悪くすることがありますので、もし気になるようでしたら、歯が健康なうちに矯正治療されることをお勧めします。
タイミングとしては、これから下顎が大きく成長する時期、10歳頃に治療を開始できればよいと思います。
ただ、この時期より遅くても、下顎の成長があれば効果は期待できますので、手遅れということはありません。
(成長がなくても、大人の矯正治療で治すこともできます。)
(申し訳ありませんが、現在、当院での治療開始時期は、諸般の事情により、早くても10歳以降とさせていただいております。)
治療を受ける際には、子どもさんが矯正治療に前向きに取り組んでいけることが大切になりますので、子どもさんの状態を見ながら矯正治療の開始時期を考えても良いかもしれません。
実際に治療を受けるときには、矯正装置のこととか、治療期間のこととか、そのようなことにばかり翻弄されないように気をつけてください。
「出っ歯を治すとともにかみ合わせを整える」「きちんと治す」「矯正治療後に快適に生活できる」ということを忘れないようにして、治療を受けるようにしましょう。
矯正治療は何かと大変ですが、きっと、あの時に治療して良かった、と思っていただけると思います。
子どもさんの出っ歯(上顎前突)が気になるようでしたら、一度、矯正初診相談を受けてみましょう。
治療するかどうかは、矯正初診相談後にもう一度よく考えて決めれば良いことですから。。。
ふじき矯正歯科で、矯正初診相談を受けてみようと思われた方は、「初診相談の予約のとり方」のページをご覧ください。
ふじき矯正歯科で、矯正歯科治療を受けてみようかなと思われた方は、「矯正歯科治療を受ける前の心構え」も、どうぞお読みください。
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