第61回目は、平成27年5月16日に「未熟児は不正咬合になりやすいのか?」と題して行いました。今回は、European Journal of Orthodontics 2014; 36:114-120を読み、その内容についてディスカッションしました。早産や低体重で生まれた子どもは、歯の萌出が遅れたり、不正咬合を有していたり、口腔機能に問題をもっているようなイメージありますが、2歳くらいの段階では、早産や低体重で生まれた子どもと普通に生まれた子どもで有意な違いはないこと、おしゃぶりや指しゃぶりによって不正咬合ができていくこと、などを学びました。早産や低体重で生まれると、成長の遅れ等が心配になりますが、多くの場合、学童期までに、成長の遅れはとりもどされるため、特に心配はいらないようです。今回の勉強会では、このような点を心配されている親御さんにきちんと説明できるデータを学び、とても有意義でした。参加してくださった皆様、ありがとうございました。
第62回目は、平成27年7月18日に「乳臼歯喪失によるスペースの変化」と題して行いました。今回は、Angle Orthod. 2015; 85:218-223を読み、その内容についてディスカッションしました。第一乳臼歯を早期喪失した場合、保隙をするべきかどうか迷いますが、長顔型の場合は保隙をした方がよく、中/短顔の場合は、あまり必要ではないことなどを学びました。子どもの場合は、歯の生え変わりや顎の成長などがあり、その時にしか効果の期待できない処置がありますが、保隙もそのひとつです。保隙をするべきかどうかは、迷うことが多々ありますが、顔のタイプもひとつの判断材料になることがよくわかりました。今回は久しぶりに参加者が多く、私自身、たくさんのことを勉強させていただきました。参加してくださった皆様、ありがとうございました。
第63回目は、平成27年9月19日に「装置を使って舌を挙上させることは可能か?」と題して行いました。今回は、Journal of NeuroEnginerring and Rehabitation 2013; 10: 64 を読み、その内容についてディスカッションしました。嚥下を補うPAPは口蓋にレジンプレートをつけますが、PAPは舌の違和感や維持歯の問題があるため、下顎に舌を挙上する装置(ELP)をつけた場合の効果について調べた論文でした。結論としては、ELPは舌を挙上する効果はないとのことで、今のところ、舌の挙上を補う装置をしては、PAPが良いのかな、と思いました。舌小帯や舌の大きさなど、舌に関しては考えるところが大きく、私自身、ディスカッションの中でたくさんのことを勉強させていただきました。参加してくださった皆様、ありがとうございました。
第64回目は、平成27年11月14日に「乳歯列期から永久歯列期の不正咬合の変遷」と題して行いました。今回は、Angle Orthod 2015; 85: 728-734 を読み、その内容についてディスカッションしました。3歳の時の不正咬合は自然に治っていくことが多く、11.5歳の時には3歳の時とは異なる不正咬合になっていることなどを学びました。この論文はスウェーデンのもので、日本人にそのまま当てはまるわけではありませんが、3歳から11.5歳まで同一の子どもを277人も追跡したとても意義のある研究で、矯正治療開始をあまり焦らないほうが良いということを教えてくれているように感じました。参加してくださった皆様、ありがとうございました。
第65回目は、平成28年1月16日に「舌感覚の年齢による変化」と題して行いました。今回は、J Texture Stud. 2014 ; 45: 317–323. を読み、その内容についてディスカッションしました。舌の感覚は、加齢とともに低下していくこと、感覚の低下は舌の筋力の低下とは関係ないことなどを学びました。口の中は髪の毛が一本入ってもわかるくらい敏感なところですが、口腔内感覚と口の動きとの関係についての研究はとても少なく、まだまだわからないことだらけです。しかし、口の動きを考えるときには口の感覚についても考える必要があることを改めて感じました。参加してくださった皆様、ありがとうございました。
第66回目は、平成28年3月19日に「トランペットと不正咬合」と題して行いました。今回は、Angle Orthod. 2016; 86: 108-114.を読み、その内容についてディスカッションしました。歯列・咬合はトランペットの演奏技術に関係していること、歯列の幅経が広い人の方がトランペットの演奏技術が高いこと、などを学びました。今回は歯科医師にとっては少々マニアックな内容でしたが、すべての歯科医師が何回かは患者さんから相談を受けたりしている事柄で、ディスカッションは大いに盛り上がりました。トランペットなどの吹奏楽器が歯列・咬合に影響を与える、という研究はこれまでにもありましたが、演奏技術の面から歯列・咬合を評価した研究はほとんどなかったため、演奏技術を高めたいという患者さんへの対応を考えるときに有意義な研究であると思いました。参加してくださった皆様、ありがとうございました。
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